.NET (旧 .NET Core) の手動更新について

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こんにちは、Japan Developer Support Core チームの松井です。

.NET アプリケーションおよびそれを利用する環境のセキュリティを維持するためには、.NET ランタイムの更新プログラムを適切かつ迅速に適用することが重要です。前回の記事では .NET (旧 .NET Core) の自動更新について解説しましたが、運用上の要件などのために手動での適用が必要となる場合もあるかと思います。本記事では、.NET の更新プログラムを手動でダウンロードして適用する方法について説明します。

.NET の更新プログラムについて

.NET の更新プログラムは Windows の更新パッケージ (.msu ファイル) ではなく、インストーラー形式 (.exe ファイル) で配布されています。また、インストーラーは差分更新ではなく、製品全体を含む完全なインストーラーとなっており、インストール時に既存のバージョンが上書きされる形で更新が適用されます。

.NET はワークロードに応じて .NET Runtime、ASP.NET Core Runtime、Desktop Runtime、SDK など複数のインストーラーが提供されています。そのため、既にインストールされているランタイムの種類に応じて、適切なインストーラーを選択して更新プログラムを適用する必要があります。インストールされていないランタイムを実行した場合は新規インストールとなりますので注意してください。

.NET の更新プログラムの手動適用の流れ

  1. インストールされているバージョンとランタイムの種類を確認する

    [設定] アプリを開き、[アプリ] - [インストールされているアプリ] を選択し、".NET" で検索してインストールされている .NET のバージョンと種類を確認します。例えば、以下のような項目が表示されます。

    • Microsoft .NET 8.0.17 Windows Server Hosting - "ASP.NET Core Runtime (Hosting Bundle)" がインストールされている
    • Microsoft ASP.NET Core 8.0.17 - Shared Framework (x64) - "ASP.NET Core Runtime" がインストールされている
    • Microsoft Windows Desktop Runtime - 8.0.17 (x64) - ".NET Desktop Runtime" がインストールされている
    • Microsoft .NET Runtime - 8.0.17 (x64) - ".NET Runtime" がインストールされている
    • Microsoft .NET SDK 8.0.411 (x64) - ".NET SDK" がインストールされている
  2. 必要なインストーラーをダウンロードする

    公式の .NET ダウンロード ページから、該当するバージョンとランタイムの種類に合ったインストーラーをダウンロードします。

    また、OS のアーキテクチャ (x64, x86, ARM64) に合ったインストーラーを選択してください。

  3. インストーラーを実行する

    ダウンロードしたインストーラー (.exe ファイル) をダブルクリックして実行します。画面の指示に従ってインストールを完了させます。

  4. 更新が適用されたことを確認する

    以下のコマンドを実行し、バージョンが更新されていることを確認します。

    1
    2
    dotnet --list-runtimes
    dotnet --list-sdks

注意点

  • Visual Studio がインストールされている環境では、Visual Studio 経由でインストールされた .NET SDK やランタイムも表示されることがあります。この場合、末尾に "from Visual Studio" のように Visual Studio 経由でインストールされたことが示されます。Visual Studio 経由でインストールされたランタイムや SDK は、Visual Studio の更新プログラムを通じて更新されるため、個別に手動で新しいバージョンをインストールする必要はありません。

  • インストーラーは管理者権限での実行が必要です。インストール中にユーザー アカウント制御 (UAC) のプロンプトが表示された場合は、[はい] をクリックして続行してください。

  • ファイルが使用中の場合、インストールの終了後にコンピューターの再起動が必要となることがあります。インストーラーの指示に従って再起動を行ってください。

よくある質問

  • Q: Microsoft Update カタログから .NET の更新プログラムをダウンロードして適用できますか?

    A: はい。ただし、Microsoft Update カタログで提供されているファイルもインストーラー形式 (*.exe ファイル) であり、差分更新ではなく完全なインストーラーとなっています。

  • Q: Microsoft Update カタログでダウンロード ページを開くと多数のファイルが表示されますが、どれを選択すればよいですか?

    A: Microsoft Update カタログでは、各ランタイムや SDK ごとに複数のアーキテクチャ (x64, x86, ARM64) 用のインストーラーが提供されています。インストールされているランタイムや SDK の種類とバージョン、OS のアーキテクチャに合ったインストーラーを選択してください。

  • Q: サイレント インストールは可能ですか?

    A: はい。インストーラーはコマンド ライン引数を使用してサイレント インストールを実行できます。以下のコマンド例を参照してください。

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    .\dotnet-runtime-8.0.17-win-x64.exe /quiet /norestart


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