こんにちは。Developer Support Core チームの上原です。今回は Visual Studio 2022 をオフライン環境でインストールする方法、オフラインインストールについてご紹介します。
はじめに
Visual Studio 2017 以降でのインストーラーは、インストール時に Web から必要なコンポーネントを取得する ブートストラップ(Bootstrap) として提供されています。
以前はディスク イメージ(ISO ファイル) が提供されており、ネットワークに接続されていないオフライン環境でご利用いただけましたが、現在は提供されておらず、オフライン用のインストーラー(インストール パッケージ) をご自身で作成いただく必要があります。
オフライン環境で Visual Studio をインストールする手順は、ネットワークに接続されている環境で事前に インストール パッケージの作成 を行い、作成したレイアウトをインストール対象の環境にコピーし インストール するといったステップで行います。
なお、本記事では原則として Visual Studio 2022 を前提に説明させていただきますが、記載する手順やコマンドの多くは Visual Studio 2017 や 2019 でも同様です。
事前準備
はじめに、事前準備として Visual Studio のインストーラー(Bootstrap) を入手する必要があります。
Bootstrap は バージョン および エディション(Professional など) ごとに提供されていますので、お持ちの契約に応じた入手経路、あるいは、弊社ドキュメント から入手ください。
なお、Visual Studio のコンポーネントは多岐に渡り、ファイルサイズも膨大となるため、全てのコンポーネントを含むインストール パッケージの作成は推奨しておりません。
そのため、事前にインストーラ パッケージに含める必要最小限のコンポーネントやワークロードを検討ください。
各エディションに含まれるコンポーネントは ドキュメント から確認でき、例えば Professional エディションであれば、こちらのドキュメント から確認が可能です。
また、必要に応じて、Visual Studio における サポートライフサイクル や、システム要件 なども、事前にご確認ください。
Step 1 インストール パッケージの作成
ネットワークに接続された環境にて、管理者コマンドプロンプトからブートストラップを実行することで、オフライン環境で利用可能なインストール パッケージを作成することができます。
詳細は後述のドキュメントに説明されていますが、よく使う引数として、インストール パッケージの出力先フォルダを指定する –layout 、含めるコンポーネントやワークロードを ID で指定する –add、言語リソースを指定する –lang、指定したワークロードで推奨される全てのコンポーネントを含める –includeRecommended などがあります。
(コマンド例)
1 | vs_enterprise.exe --layout C:\VSLayout --add Microsoft.VisualStudio.Workload.ManagedDesktop --add Microsoft.VisualStudio.Component.Git --lang ja-JP --includeRecommended |
(参考情報)
- ローカル レイアウトを作成する
- レイアウトの内容を構成する
- –layout を使用してネットワーク レイアウトまたはローカル キャッシュを作成する
- ファイアウォールまたはプロキシ サーバーの内側に Visual Studio および Azure サービスをインストールして使用する
Step 2 インストール
Step 1 で作成したインストール パッケージを、インストール対象の環境にコピーします。
(a) GUI からのインストール
GUI からインストールする場合には、インストール パッケージに含まれているブートストラップを起動します。例えば、パッケージが C:\localVSlayout フォルダーに配置されている場合には、C:\localVSlayout\vs_enterprise.exe のパスに配置されているブートストラップをエクスプローラーなどから起動します。
ブートストラップを起動すると、Visual Studio Installer の画面が表示されますので、インストール対象のコンポーネントやワークロードを選択し、インストールを実施します。
(b) コマンドラインからのインストール
コマンドラインからインストールする場合には、管理者コマンドからインストール パッケージに含まれているブートストラップを実行します。
インストール時に指定する引数については、インストール パッケージ作成と一部重複しますが、コンポーネントやワークロードを ID で指定する –add、言語リソースを指定する –lang、指定したワークロードで推奨される全てのコンポーネントを含める –includeRecommended などがあります。
(コマンド例)
1 | vs_enterprise.exe --add Microsoft.VisualStudio.Workload.ManagedDesktop --add Microsoft.VisualStudio.Component.Git --lang ja-JP --includeRecommended |
ただし、Step 1 でパッケージに含めていないコンポーネントやワークロードなどのインストールを試みた場合には、パッケージに含まれていないことを自動で判別し、インターネットからの取得を試み、エラーが発生する可能性があります。そのため、オフライン環境でネットワークに接続できない場合には、パッケージに含めたコンポーネントのみをインストールしてください。
(参考情報)
- ローカル レイアウトから Visual Studio をインストールする
- インストール、更新、変更、修復、アンインストール、エクスポートの各コマンドとコマンド ライン パラメーター
- Visual Studio インストールのコマンド ライン パラメーターの例
ライセンス認証
Professional エディションなどの Visual Studio では、インストール後にライセンス認証が必要になります。
オフライン環境では、ネットワークに接続してライセンスを認証することができませんので、その場合には プロダクトキーを入力 して認証する必要があります。
あるいは、ネットワーク接続が可能な場合には Microsoft アカウントなどを用いて Visual Studio にサインインすることで認証することも可能です。
プロキシ サーバーを介して通信するといったシナリオで問題発生する場合には、プロキシ サーバーの設定 もお試しください。
本ブログの内容は弊社の公式見解として保証されるものではなく、開発・運用時の参考情報としてご活用いただくことを目的としています。もし公式な見解が必要な場合は、弊社ドキュメント (https://learn.microsoft.com や https://support.microsoft.com) をご参照いただくか、もしくは私共サポートまでお問い合わせください。