こんにちは。Developer Support Core チームの上原です。今回は Visual Studio 2022 のシステム要件について解説いたします。
はじめに
Visual Studio を利用する際には、インストール対象の環境がシステム要件を満たしている必要があります。
本記事では Visual Studio 2022 のシステム要件 を元に説明いたしますが、厳密には Visual Studio バージョンや、利用するコンポーネント等によって異なる場合があります。
また、同じ Visual Studio ファミリ製品である Visual Studio Code(VS Code) についても、一部個別に言及している個所を除き、基本的には本記事の対象外となりますこと、あらかじめご了承ください。
Visual Studio 2022 のシステム要件
Visual Studio 2022 におけるシステム要件は、こちらのドキュメントに記載されています。
システム要件を満たさない環境ではいかなる動作も保証されず、また、サポートサービスも提供されませんので、事前に必ず問題がないかご確認ください。
なお、Visual Studio インストーラーでは、インストール時に環境がシステム要件を満たしているかチェックし、要件を満たしていないと判断される場合には警告を出力します。
しかしながら、これらの機能はあくまでも補助的なものであり、エラーや警告が表示されないことは必ずしもサポートされている環境であることを保証するものではありませんので、ご注意ください。
OS バージョンのサポート ライフサイクル
Visual Studio のサポート ライフサイクルに関わらず、サポートを終了した OS バージョン上での Visual Studio の利用はサポートされていません。
例えば本記事執筆時点で Visual Studio 2022 はサポート期間内で、システム要件として Windows 11 はサポート対象 OS ですが、Windows 11 version 21H2 は 2023年に既にサポートを終了 していますので、Windows 11 version 21H2 での Visual Studio 2022 の利用は現在サポートされていません。
各 OS バージョンのサポート期限等は、ライフサイクル ポリシーのサイトから確認いただけますので、必要に応じてまずはサポートされている OS バージョンであるかをご確認ください。
長期サポートバージョン(LTSC) はサポートされません
Visual Studio の利用がサポートされていない環境の 1つに、長期サポートバージョン(LTSC) での利用があります。
Windows Enterprise LTSC は、特定の目的に限定し長期に利用することを想定している OS となっており、Visual Studio をインストールし、アプリケーションを開発するといったシナリオはサポートされておりません。
そのため、ドキュメントにも記載がある通り、Visual Studio で開発したアプリケーションを利用することは可能ですが、Windows Enterprise LTSC に Visual Studio をインストールし、利用することはサポートされておらず、いかなる動作も保証されませんので注意が必要です。
Visual Studio の実行には、次の機能はサポートされていません。
・Windows 11 Home (S モード)、Windows Enterprise IoT、Windows 10 IoT Core、Windows 10 Enterprise LTSC エディション、Windows 10 S、Windows 10 Team Edition。 これらのエディションの Windows 上で実行されるアプリは、Visual Studio 2022 を使用してビルドできます。
・Windows Server 用の Server IoT および最小限のサーバー インターフェイス オプション。
複数ユーザーによる利用はサポートされません
Visual Studio では、同一環境上で複数のユーザーが同時に利用することはサポートされておりません。
一例としまして、サーバー端末に対して複数のユーザーがリモートからサインインし、端末を利用するといったシナリオにおいて、端末にインストールされた Visual Studio を利用するといったケースが考えられます。
この場合、2人以上のユーザーが同時に Visual Studio を起動するといった操作はサポートされておらず、いかなる動作も保証されておりません。
一方で、必ずいずれか 1名のユーザーのみが Visual Studio を利用するという状況であれば本制約を回避することは可能ですが、その場合、他ユーザーの利用をブロックするといった機能はないため、運用ルールなどを用いて複数ユーザーによる利用を避けていただく必要があります。
Visual Studio の実行には、次の機能はサポートされていません。
・共有仮想デスクトップ インフラストラクチャ マシンやプールされた Windows Virtual Desktop ホスト プールなど、同じコンピューター上でソフトウェアを使用する複数の同時ユーザー。
なお、本制約については、現時点で (2025年 10月) 全ての Visual Studio および Visual Studio Code(VS Code) が対象となっていますが、将来バージョンについては適宜最新の情報をご確認ください。
リモートデスクトップ サービスはサポートされません
私たちサポートにお問い合わせいただく事例の中に、Windows Server 系 OS に Visual Studio(や、後述の SSMS) をインストールした際に、システム要件を満たしていないとの警告が表示されるが、心当たりがないといったケースがあります。
システム要件を満たしているかは環境によって異なりますので、システム要件のドキュメントを元に確認いただく必要がありますが、特に見落としがちな制約として、Windows Server におけるリモートデスクトップ サービスがあります。
もし、リモートデスクトップ サービスが有効になっている場合には、システム要件を満たさず、サポートされない環境となりますため、サーバーマネージャーを起動し、 リモートデスクトップ セッションホスト の役割がインストールされているかをご確認ください。
コンテナや仮想マシン環境での利用
Visual Studio のインストールには完全な Windows OS が必要です。
そのため、Docker などのサードパーティー技術やサービスを含め、OS の機能を完全に提供していないコンテナーや仮想マシン環境での動作はサポートされていません。
Visual Studio の実行には、次の機能はサポートされていません。
・Visual Studio Build Tools を除く、Windows コンテナー。
・完全な Windows オペレーティング システムなしの仮想マシン環境での実行。
ただし、Visual Studio Build Toolsについては、Windows Server における Server Core オプションや、コンテナでの利用がサポートされています。
補足: SQL Server Management Studio(SSMS) の利用に関して
現在(2025年 10月)、最新の SSMS(SQL Server Management Studio) は Visual Studio インストーラーを用いてインストールされております。
そのような背景から、本記事で解説した内容の一部は SSMS のシステム要件でも同様となっています。
Visual Studio と SSMS は別の製品であるため、それぞれの製品ドキュメントに沿ってシステム要件を確認いただく必要がありますが、共通している要件については本記事の内容が少しでもご参考になれば幸いです。
本ブログの内容は弊社の公式見解として保証されるものではなく、開発・運用時の参考情報としてご活用いただくことを目的としています。もし公式な見解が必要な場合は、弊社ドキュメント (https://learn.microsoft.com や https://support.microsoft.com) をご参照いただくか、もしくは私共サポートまでお問い合わせください。