こんにちは、Japan Developer Support Core チームの上原です。
今回は、Visual Studio 2017/2019/2022 のオフライン インストール時に発生する「署名の検証に失敗する」事例と、その対処方法についてご紹介します。
概要
Visual Studio の オフラインインストールを実施 する際、UI 上のダイアログやメッセージの表示なしに、インストーラーが終了し、インストールが失敗する事例が報告されています。
本ブログ記事では、2025 年 7 月 29 日時点の情報を元に、問題の原因と対処方法について紹介させていただきますが、将来バージョンではソフトウェアの動作が変更となる可能性もありますので、予めご留意ください。
原因
Visual Studio のインストールでは、インストールに必要なファイルを読み込む際に、付与された署名を検証することで、ファイルの真正性を確認しております。
署名に用いる証明書の変更があった場合には、オンライン環境ではネットワーク経由で自動で更新されることが想定されておりますが、オフライン環境の場合には自動的にネットワークを介して取得することが困難であるため、事前にインストールする必要があります。
今回報告されております事例では、Visual Studio のインストーラーに用いられている証明書が更新され、証明書がインストールされていない既存の環境で署名の検証に失敗することで、インストールが中断されるといった場合がございます。
確認方法
次に、オフライン インストール実施中に問題が発生した場合に、本事例に合致しているかの確認方法についてご説明します。
本事例では、インストール実行中に内部でエラーが発生し、処理が中断されますが、明示的にエラーを示すダイアログやメッセージが UI 上に表示されない場合があります。
その場合には、%Temp%
フォルダや、C:\Users\<USERNAME>\AppData\Local\Temp
フォルダなどに保存されているログ、多くの場合 dd_ で始まるファイル名のログ ファイルを、メモ帳などのテキスト エディタで開き、内容を確認ください。
インストール ログにおいて、署名の検証失敗を意味するエラーメッセージと共にエラーが出力されている場合には、本事例に合致している可能性が高いとお考えいただけます。
(ログ出力のイメージ)
1 | Certificate is invalid: <YourFolder>\vs_installer.opc |
なお、この問題は Visual Studio 2017、2019、2022 のオフライン インストールで発生が確認されております。
対処方法
本事例に合致している場合には、証明書 Microsoft Windows Code Signing PCA 2024 を証明書ストアにインストールすることで、対処することが可能です。
具体的な手順は以下の通りです。
Microsoft Windows Code Signing PCA 2024 をダウンロードし、インストール対象の環境にコピーします。
ダウンロードした証明書(
Microsoft Windows Code Signing PCA 2024
の .crt ファイル)をダブルクリックし、「証明書のインストール」、「ローカルコンピュータ」、「証明書の種類に基づいて、自動的に証明書ストアを選択する」 と順に選択し、システムにインポートします。
なお、証明書のインポートには管理者権限が必要です。インストーラーを再度実行し、エラーが解消することをご確認ください。
参考情報
- Visual Studio Developer Community: Visual Studio Professional 17.1.4.7 install fails with certificate error
- オフライン インストールの証明書を検証する - SQL Server Management Studio のオフライン インストールを作成する
※SSMS(SQL Server Management Studio) のインストーラーは一部 Visual Studio を元に開発されており、同様の問題が報告されております。
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